2ちゃんねる ★スマホ版★ ■掲示板に戻る■ 全部 1- 最新50  

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

ξ゚听)ξはサイレントヒルで看護婦をやっていたようです

1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:14:36.27 ID:rVwpK8LTO
某日もらったネタより  
  

2 ::2009/04/25(土) 19:15:52.04 ID:F7k6CNbS0 ?2BP(50)

age

3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:16:01.72 ID:V04Yj5+e0
wktk

4 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:16:22.05 ID:AFinROnx0
しえしえ

5 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:16:52.61 ID:qM1CPeZk0
3の銃撃ってくる奴はマジでウザイからやめろ

6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:18:27.62 ID:cTmOhn7h0
前置き

タイトルでお分かりの通り、サイレントヒルをテーマにしたブーン系です。
某日に立ったスレでタイトルだけ上がっていたものをいただきぱっくんちょ。
シリーズをプレイしていない方も楽しんでいただけたら幸いです。

由来となる作品は複数で、オリジナルの部分とまぜこぜです。
大まかにですが、地理関係は2、または3の後半部分を参照してください。
※かなり構造とかは曖昧にしてあります。

暴力や性的描写などの点から、閲覧注意、とさせていただきます。

うまく短編というものに収まらないので、投下を分けます。
お時間の許す限り、今回分、お付き合いください。

7 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:20:02.02 ID:AFinROnx0
支援

8 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:20:20.15 ID:Wf4WACehO
書き溜めはもちろんしてるよな?

9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:20:58.11 ID:cTmOhn7h0


【Start】



10 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:22:44.87 ID:cTmOhn7h0
 対向車のライト。
 すれ違う乗用車。

ξ゚听)ξ「この辺も変わらないわね。もっとも、変わりようなんてないのかしら」

 看板がぼんやりと眼に映った。

[ようこそ、サイレントヒルへ]

 観光用の派手なカラーと遊園地のペイント。
 マスコットのウサギがけばけばしいピンクをアピールしている。

ξ゚听)ξ「ロビーちゃん……好きだったな」

 夜道に霧が立ち込めている。
 サイレントヒルの四月はいつもこうだ。
 暖かい時期に差し掛かると町の名所のひとつ、トルーカ湖から霧が出る。

11 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:23:53.98 ID:V04Yj5+e0
紫煙

12 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:24:09.96 ID:cTmOhn7h0
ξ゚听)ξ「やっぱり寂しい土地だわ。観光の名所があるなんて言うけれど」

 ハンドルを安定させながら、ホルダーのマグを取る。
 すっかりぬるくなったカフェ・オレ。

ξ゚听)ξ「ブーン……」

――お? 故郷に帰りたいのかお?

――うん、ごめんね。急に昔の同僚が会いたいって。

――なら行って来るといいお! 家事くらいのかっぱだお。任せろお!

 家を出る前にかけられた優しい言葉。
 不義を知らない夫の優しさ。
 妻としていたらない部分の多い、わたしに向けられた、その笑顔。

ξ )ξ「終わらせてくるわ」

 エンジンの振動を感じながら、なおも車を走らせる。
 寂れた飲料会社の看板――『スパーク&フレッシュ!』――が霞んで見えた。

13 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:25:38.66 ID:cTmOhn7h0
 ハイウェイを下りて一時間、わたしはネイサンアベニューに到達していた。
 晴れていればサウスヴェイル地区が一望できる丘を通る。
 土産の売店は戸締りを済ませている。

 小さい頃、ここで、お父さんにアイスをねだったんだっけ。
 ストロベリーとチョコミントでダブル。
 途中で落として泣いた覚えがある。

ξ゚听)ξ「郷愁ってヤツかな。……子供か」

 わたしはそんな思い出を作れるのだろうか。
 娘、あるいは息子。
 そんな夢を見てもいいのだろうか。

 物思いにふけり、知らずのうちにアクセルを踏みすぎていた。
 そんな時、不意に霧の中に人影を見つける。
 目前に迫ったそれを避けようと、急激にハンドルを切る。

ξ゚听)ξ「――――!!」

 滑る路面が車を横転させ、ぐしゃ、と車体が歪む。
 衝撃に意識を手放したのは直後だった。

14 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:26:41.76 ID:AFinROnx0
しえしえ

15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:26:43.97 ID:V04Yj5+e0
しえ

16 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:27:13.75 ID:cTmOhn7h0


ξ゚听)ξはサイレントヒルで看護婦をやっていたようです



17 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:28:43.44 ID:DQrVHcB6O
とうとうきたかw

18 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:29:28.59 ID:cTmOhn7h0
ξ )ξ「……い、た、たたた」

 目が覚めた時、身体中に痛みが走った。
 少し身体を休めて、割れたフロントガラスから様子を伺う。

ξメ゚听)ξ「ここは……ガードレールの下まで落ちちゃったのね」

 なんとかドアを蹴飛ばすようにして開ける。
 ひしゃげた金属板は根元から外れた。
 ガードレールを突き破ったのか、丘の展望台がぼんやりと上に見える。

 車を降り、つきっ放しのライトの前に出て気付く。
 砕けたガラスで少し手を切っていた。
 持ち歩いている応急キットで一応消毒、そして絆創膏を貼る。

ξメ゚听)ξ「保険会社に連絡しなきゃ」

 大きな怪我をしなかったのは不幸中の幸いか。
 しかしローンの残る自動車を潰してしまったのは残念だ。
 いや、これから成そうとしていることの前では、些事かもしれないな。

ξメ゚听)ξ「あれ?」

 携帯電話越しに聞こえてきたのは、ツー、という音のみ。

19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:31:59.12 ID:cTmOhn7h0
 電波状況は――アンテナ三本。
 良好のはずだった。

ξメ゚听)ξ「どうしたのかしら」

 ためしに自宅に電話をかける。
 今日は夫がそこにいるはずだ。
 しかし、

ξ;゚听)ξ「繋がらない……」

 崖下の草地に壊れた車と自分。
 夜闇の中で、見えるのは車のライトに照らされた木々だけ。
 風が霧を舞い上げ、冷たく身体を撫でた。

 孤独が押し寄せ、胸を押し潰しそうになる。

ξ;゚听)ξ「そうだ、非常用のライトがトランクにあったじゃない」

 夫の提案で「非常用」のものはある程度車載している。

20 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:33:20.95 ID:V04Yj5+e0
支援す

21 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:33:30.22 ID:qM1CPeZk0
クリーチャーまだでしょうか?

22 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:33:42.66 ID:cTmOhn7h0
 車内灯に照らされた乾パン、シートベルトカッター、スペアのタイヤ、等々。
 エマージェンシーブランケットのパックの下に、それを発見する。
 手に取ってスイッチを入れた。

ξメ゚听)ξ「電話を探さなくちゃ……」

 丘から町に続く道があったはずだ。
 そちらは、本来進もうと思っていた車道より直線距離としては近い。
 肩掛けバッグを引っ張り出し、いくつか道具を詰め、歩き出す。

 目指したのはいわゆる散歩道、観光用のルートだった。
 暗い森の中を、わたしは下る。
 五分ほどして不安を覚えた頃、ついに靴が砂利を踏む。

ξメ゚听)ξ「あとはこれを辿っていけば良いわね」

 じゃり、じゃり、じゃり。

 丸文字の立て札がある。

[あと100mで休憩所だよ!]

ξメ゚听)ξ「電話くらいあるといいんだけど」

23 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:35:29.25 ID:cTmOhn7h0
 簡素な休憩所に電話は、果たして、あった。
 25セント硬貨を取り出して受話器を耳に。
 しかし、放り込んだコインはそのまま排出される。

ξメ゚听)ξ「……駄目だわ。使われてなかったみたいね」

 いよいよもって町まで降りる必要がある。
 そして、とにかく病院へ。

――最近ご無沙汰じゃないですか、戻ってきてくださいよ。

ξメ )ξ「どうあってもアイツだけは許せない」

 ぎり、と奥歯を噛み締めた。
 電話口で聞いたあの気取った声がよみがえり、頭に怒りが満ちる。
 神経が昂ぶってきたのは好都合だった。

 冷えてきた身体がかっかとして、寒さと孤独を誤魔化せたからだ。
 しくじらないように、絶対に……。
 わたしの足は林間を進む。

24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:36:03.85 ID:/R6c6F4b0
お、おいちゃんとハンドガンは装備したんだろうな!?

25 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:37:46.18 ID:cTmOhn7h0
「――――!!」

ξメ゚听)ξ「えっ!?」

 新たな立て札を二つ通り過ぎた辺りで、遠吠え。
 野犬?
 それにしては随分と聞き覚えのあるような叫び。

 鞄の中に入れた「それ」を取り出しかける。

ξメ゚听)ξ「人間の悲鳴、なわけ、ないわよね」

 ふと浮かんだ考えを振り払い、また立て札を発見する。
 井戸の横にそれはあった。
 しかし、異質。

ξメ゚听)ξ「なによ、これ」

 看板に刻まれたのは矢印と町までの距離。
 色は茶色と黒と、そして赤。
 血のような、赤。

26 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:38:54.66 ID:qM1CPeZk0
アイツってカウフマン?

27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:39:11.06 ID:V04Yj5+e0
私怨

28 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:40:06.00 ID:cTmOhn7h0
 ところどころがべったりと汚れて読めない。
 辛うじて拾えたのは、

[サイレ――ま――200848291834929km――――いで、まま]

 まま?
 まま。
 ママ、か?

ξメ゚听)ξ「何兆kmよ。悪い冗談だわ……」

 ひやりと背中に嫌なものを感じながら、鼻で笑う。
 懐中電灯を逸らして横を通った時、再び遠吠え。
 驚いて振り向いた先には、何も見付からなかった。

ξメ )ξ「なによ。なんなのよ。なんだっていうのよ」

 歩を、進めた。

29 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:41:49.02 ID:cTmOhn7h0
 足元の砂利道が終わり、柔らかい地面に変わった。
 ここは共同墓地か。
 びくびくしたものの、何事も起こらずに舗装された道路が現れる。

 この道は知らない。
 コンクリートに生えた標識に従い、溝川沿いを歩く。
 フェンスの並ぶ静かな道路に響く足音。

 しばらくして本来、車で通過する予定だった高架下をくぐる。
 資材が多く立てかけられた壁が、コツコツという反響音を返す。
 そこを抜けて、続く道路を行くとようやく町の端に到達できた。

ξメ゚听)ξ「?」

 しかし、異常に静かだ。
 観光客向けの地区ではないが、人気がなさすぎる。
 三年前、この町にいた時のことを思い出す。

ξメ゚听)ξ「バーさえ開いてないのはおかしいわ……」

 あらゆる店がシャッターを下ろし、窓明かりさえ漏れていない。
 電話ボックスを交差点の一角に認める。
 コインを取り出し、投入。

『――。――。――』

30 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:45:11.03 ID:cTmOhn7h0
 ダイヤルより前に聞こえて来たのは、ノイズだった。
 ひどい砂嵐のような雑音。
 だが、時折人の声も聞こえるような気がする。

ξメ゚听)ξ「え? ハロー?」

『――。――。――』

ξメ゚听)ξ「ハロー?」

『――。――。――』

ξメ゚听)ξ「……え」

 かすれた小さな小さな頼りない声。
 わずかに聞き取れた単語。

――やめて。

 ぶつん。

31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:46:22.34 ID:AFinROnx0
支援

32 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:46:29.92 ID:cTmOhn7h0
ξメ゚听)ξ「切、れた」

 それっきり、受話器からは何も聞こえてこなかった。
 わたしはしばらくそのまま立ち尽くしていた。

ξメ゚听)ξ「なんなのかしら」

 サイレントヒルの町は、霧は、答えてくれない。
 懐中電灯しか明かりの無い中、縁石に腰掛ける。
 車がちらほら停まっているのに、人は見当たらなかった。

ξメ゚听)ξ「……」

 黙っていると様々な想いが巡る。
 わたしの過ち、後悔、負の感情。
 荒んだ心のまま、交差点を眺める。

ξメ゚听)ξ「あら?」

 向かいの雑貨屋のシャッターが開いている。
 わたしは人を求めて入っていった。

33 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:48:30.00 ID:cTmOhn7h0
 店内は明かりさえないものの、暖かい。
 空調だけはついているのだろうか。
 冷えた指先にじんわりと熱が広がる。

ξメ゚听)ξ「ハロー? 誰かいませ――」

 むわ、と嫌な匂いが鼻をついた。
 生臭い、腐ったような臭気。
 思わず顔をしかめて明かりを床に走らせる。

 どす黒い、何かが這ったような痕跡。

ξメ )ξ「!」

 その先に人は、いた。

ξメ )ξ「なんてこと」

 死体であれば、人はそこにたくさんいた。

34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:49:52.89 ID:cTmOhn7h0
 黒山の死人だかり。
 染み出した血液は乾ききっている。
 みなが皮を剥がれ、筋肉が露出していた。

 懐中電灯に照らされたむき出しの顔面。
 どろりと垂れた眼球と、眼が合ってしまう。

ξメ )ξ「……うっ」

 ハエがその瞳を横切るまでを見て、顔を逸らす。
 途端、息が詰まった。
 胸がむかむかする。

 しかし、ひどい傷なら見慣れている。
 吐き気を我慢すると、わたしは壁に手をついて店を出た。

ξ;メ゚听)ξ「ど、どうして。誰が? あれだけの人を――」

 どくん。

 油断。
 一言で済ますならそれだった。

35 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:50:17.74 ID:V04Yj5+e0
支援

36 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:51:10.53 ID:cTmOhn7h0
 誰が、あれだけの人を#したのか。
 あれほどの奇行をしたのか。
 考えるなら店内で即座にするべきだった。

 あははは ひひひひゃひゃひゃ

          あはははあははああっはははあは
うひゃああはああははっははは

 山の頂上に置かれた死体がまだ生乾きであったこと。
 血溜りに新鮮な赤が足されていたこと。
 それらを見るべきだった。

     えへはえへへははあああひゃひゃひゃはっはあ

  うぇっはっはっはっはああああ あああっははうえははははは

   ははっはあああははっはああ

――周囲は、人型の異形に満ちていた。

37 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:52:14.16 ID:/R6c6F4b0
逃げてえええええええええええ
そこから超逃げてええええええええええええええええええ

38 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:52:24.79 ID:cTmOhn7h0
 よろよろと身を揺らしながら「それら」は一歩一歩を踏みしめる。

 異常に太い両手を地に擦らせながら。

 くぐもった下劣な声で

 狂ったように怒ったように

 そしてなにより

 ひどく愉快そうに笑いながら

 ゆっくりと迫ってくる

39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:53:04.06 ID:AFinROnx0
支援

40 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:53:56.87 ID:cTmOhn7h0
ξメ゚听)ξ「う、あ」

あはっはっはははああははあはああ

 一番近い「それ」に明かりが当たる。
 霧に映されたシルエットはひどく汚れた、太い両腕を引きずっている。
 そして、頼りない歩みをする細い脚。

はっはっはははっはあはああああっはあっはははははははっ
はははっはっははああああああああははははあ

 肩からボロをかけただけのアンバランスな痩身。
 露出した下半身にはグロテスクなものが見える。
 位置から察するに、それは怒張したペニス。

はははふあひゃえはああははははああははは
うえふああああはへへへああはあっはああはあははは
ははわあははあははあはへへへうへへはあはははああはへ

ξメ゚听)ξ「そ、な、なに……え……」

 怪物――それも、二十を超える群れ――が、徐々に歩み寄る。
 しかし、身体が動かない。
 逃げたいのに、足がすくんで歩けもしない。

41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:55:24.58 ID:cTmOhn7h0
 交差点の角から見通して、怪物の数が少ないのは右手奥の道。
 それでも三体はいる。
 他に比べたらマシという程度でしかない。

ああははははっはっはあわははへへへはうふひひいあはいああ

 ひと目で、「それ」は人を殺したものだと分かる。

 走れ、ツン。
 走りなさいよ、わたし。

 表情が確認できる距離にまで接近を許してしまう。
 血錆びに汚れた人型の顔に、眼球はなかった。
 虚ろな眼窩、マネキンのような固まった笑顔。

ξメ゚听)ξ「あ、あ、あ、あ」

 歩くごとにペニスが揺れる。
 嬉しそうな嬌声。
 逃げないと――

「おい、逃げろ!」

 乾いた音が三度、夜の町に響いた。

42 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:55:34.86 ID:AFinROnx0
しえしえ

43 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:56:56.05 ID:cTmOhn7h0
 怪物の一体が叫びながら、どう、と倒れる。
 それはわたしの最も近い位置にいた一体。
 右手に並んだ人型がひとつ減った。

「こっちだ!」

 その方向に広がる霧から、明かりが差す。
 自らも懐中電灯をそちらに向けると、「まともな」人影が片手を煽っている。
 もう一方の手には武器、そう、異形に向けられた拳銃が握られていた。

ξメ゚听)ξ「!」

(#・∀・)「ついてこい! 振り向くな!」

 力強い声に呪縛が解かれ、わたしは駆けた。
 男に近寄る途中、彼の持つ銃がさらに弾丸を吐き出す。
 矛先は、次に近くにいた左方向の怪物。

 発砲音、体液の飛散、絶叫。

 視界の端で振り上げられていた太い腕が、弾けるように地へと降ろされた。

44 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:58:09.37 ID:cTmOhn7h0
 男はわたしを先導して行く。
 思考がまとまらない。
 とにかく走らなければ。

 グロテスクな外見の怪物。
 鋭い爪、アンバランスな腕。
 捕まりでもしたら#されてしまう。

 角を右に、そして次を左に折れる。
 確か、この建物は警察署?
 男が周囲を確認しながら、入れ、と指示する。

 従ってくぐったドアの内側は薄暗く、ひどく閑散としていた。

(;・∀・)「おい……あんた、無事か……」

ξ;メ゚听)ξ「はあ……はあ……ええ、なんとか。ありがとう」

 少ししてから、男がドアをくぐる。

45 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 19:59:40.50 ID:cTmOhn7h0
 息を整えながら、男を観察する。
 やや身長の高い、健康そうな体つきをしている。
 ブロンドの短い髪がすっきりとした目鼻立ちに似合っていた。

 黒のスラックス、また、おそらく清潔な白であったであろうシャツ。
 それらは茶色、あるいは赤黒いシミで薄汚れている。
 年の頃は三十半ばといったところか。

 さっきのはなんだったのか、と訊く声が、男のそれに被せられる。

( ・∀・)「タバコ、吸ってもいいか?」

ξ;メ゚听)ξ「……構わないわ」

 男は胸ポケットから潰れた箱を取り出した。
 手にした一本をくわえて、火をつける。

( ・∀・)「なあ。あんた、どっからこの町に来たんだ?」

 わたしが口を挟むタイミングはこうして失われた。

ξメ゚听)ξ「……ちょっと事故って、東の森から霊園を抜けて、高架下を通って来たのよ」

46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:01:02.80 ID:cTmOhn7h0
( ・∀・)「ネイサンアベニューに通じる道の下のトンネル? 通れたのか?」

ξメ゚听)ξ「だからこうしているんじゃない。何言ってるの」

 眉根にしわが寄るのを自覚する。

( ・∀・)「有刺鉄線、フェンス、そして、底の見えない穴」

ξメ゚听)ξ「それが?」

( ・∀・)「俺はそれのせいでトンネルを通れなかった。昨日のことだ」

 え?

ξメ゚听)ξ「そんなもの無かったわよ」

( ・∀・)「ああ、そうか。うまいこと一方通行になってやがるのか」

 男が紫煙を吐き出す。

( ・∀・)「まあいい。俺はモララー。しがない会社員をやってる。アンタは」

47 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:02:38.86 ID:cTmOhn7h0
 アゴで自己紹介を促される。
 わたしは男のペースに巻き込まれていた。

ξメ゚听)ξ「……ツン。隣の州で看護婦をしているわ」

( ・∀・)「そうか。ツン、歓迎しよう」

 タバコを指に挟み、モララーは両腕を広げる。
 演技するように、整った顔を卑しく歪める。
 そして、言い放った。


( ・∀・)「サイレントヒルへようこそ。霧と怪物と絶望の町へ」


 絶句した。

48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:04:00.69 ID:cTmOhn7h0
 矢継ぎ早に言葉が続けられる。

( ・∀・)「さっきの奴らは脚こそ遅いが、腕力は強力だ。それにあの爪。刺さったら身体の裏まで貫くぜ。
      他にも楽しいオトモダチがわんさといる。大声を出して外を歩いてみると面白いぞ。
      毛皮の剥がれたゾンビ犬。上半身と下半身が分離した動く死体。エトセトラ、エトセトラがお出迎えだ」

――まともな人間を除いて、バケモンが大集結、さ。

( ・∀・)「野暮用で久々に来てみれば、住民が総入れ替え。楽しすぎてハ、ハ、ハ、だろ」

 気丈に皮肉っているようだが、しかし、表情は疲れきっている。
 口を閉じると、モララーは胸元のクリップ付きライトをオフにした。
 そして、近付いてくる。

( ・∀・)「バッテリーを無駄にするな。それに見付かりやすくなる」

 言われて、自身の懐中電灯がつきっ放しであることに気付いた。
 スライド式のスイッチをずらす。

ξメ゚听)ξ「ミスターはいつからここに?」

( ・∀・)「モララーでいい。二日ほど前からいる、はずだ。
      気付いたらこんなんで時間も分からないんだが」

49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:06:03.35 ID:cTmOhn7h0
 暗いはずの屋外から何故か差していた光に、彼は手首をさらす。
 そこには銀色のよくあるタイプのアナログ腕時計。
 しかし、文字盤上の様子は異常だった。

ξ;メ゚听)ξ「長針と短針が同時に逆回転してるじゃない……」

( ・∀・)「日付が、93日って表示されるのも笑えるだろ」

 月を表すらしい部分のアルファベットが、変形して、ギリシャ文字。
 η月93日、時間不明。
 わたしの腕時計や携帯電話も同様に、ひどく狂っていた。

ξメ゚听)ξ「なによこれ、……気持ち悪い」

 ぞっとして肌が粟立つ。

( ・∀・)「気持ち悪いものばっかりさ。この二日見てきたのは、異常が常な世界だ」

 モララーがそれから喋った内容は次の通りだった。

50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:06:04.65 ID:AFinROnx0
支援!

51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:07:17.82 ID:cTmOhn7h0
 湖に近いモーテルに一泊してから目覚めると、何故か路上にいた。
 人を探して歩いていると、先ほどの怪物に遭遇。
 なんとか逃げたが、夜は終わらず、霧も晴れない。

 東部の道路は底なしの穴。
 終わりの見えないフェンスに囲まれた外周。
 途中、開いていた警察署に入り、拠点とした。

 誰もいないので、拳銃と弾丸を拝借。
 私物らしい食料をいくらか食べ、休息。
 体力を取り戻すべく一度、睡眠。

 目覚めてからさらに探索。
 怪物を避けながら、物資を得る。
 そして、他のルートを模索。

 しかし、どこも通り抜け不可能。
 戻ろうと歩いている時にわたしを見つけた。
 以上。

52 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:08:34.20 ID:cTmOhn7h0
 口調は軽かった。
 だが、目の下のクマや、やつれた頬は疲れを隠せていない。
 人に会えたことで興奮しているのだろう。

 果たして、この男がまともであると言い切れるだろうか?
 少し、わたしは警戒するように後ずさった。
 モララーはそれに気付かない。

ξメ゚听)ξ「どうして、この町はこんな風に?」

( ・∀・)「さあ、な。理由も探ろうとしたんだが、どこから手を付けて良いか検討もつかない。
      少なくとも、周辺2,3ブロックくらいは、まともに喋れる人間も残ってないしな」

ξメ゚听)ξ「まともに」

 補足はいらない。
 つまり、死人に口なし。
 口を聞く人は、いないということだ。

 ふと思いついて尋ねる。

ξメ゚听)ξ「ブルックヘイブン病院には行ったかしら?」

53 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:09:47.38 ID:cTmOhn7h0
( ・∀・)「いや、まだだ。そうだな……ちょっとこれを見てくれ」

 モララーは折りたたんだ地図を尻ポケットから取り出した。
 広げられたそれには多くの書き込み。
 赤いペンで×や矢印が加えられている。

 近寄ってくるモララーに一瞬身体を強張らせたが、結局は接近を許す。
 タバコを吸い始めてから彼の拳銃はテーブルの上だ。
 危害を加えてくるようでもない。

( ・∀・)「今まで探索したのはローズウォーターパークから、ぐるりと東の道路沿い」

 町の北側には、トルーカ湖がある。
 それを見渡せる公園が南側にあり、地図ではそこに×がつけられていた。
 そして、地図の右方、つまり東側の道路では赤の二重線が南方面へと伸びている。

 指を差しながら、モララーは言う。

( ・∀・)「やたらめったら背の高いフェンス、そしてその向こうには崖。
      抜けられもしない、通れもしない。フェンスを超えても奈落にまっさかさまだ」

ξメ゚听)ξ「わたしの通ってきた場所までは探索したのね」

( ・∀・)「どこも塞がってたけどな。あんたが通った時以外は」

54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:10:36.71 ID:MYetoyBRO
支援

55 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:11:16.38 ID:cTmOhn7h0
ξメ゚听)ξ「西側はまだ手付かず、か」

 「×」「○」「check」「danger」「food」
 それらは、下方や左方にはほとんど見られない。

( ・∀・)「ま、どこも大して変わらないと思うがね」

ξメ゚听)ξ「それでも南から行けなくはない、って感じね……」

 わたしは壁際のソファまで行って、腰を下ろした。
 嘆息して、考える。
 目的を達成するべきか、それとも逃げ出すべきか。

 「ヤツ」がこんな状態の町にいるか分からない。
 自身の危険は承知の上だった。
 だが、この異常事態。

 そもそもどうやったら逃げ出せるのだろう?
 いや、考えるまい。

 ひしゃげた車をどうするか、よりも重要な決断をするべきだ。
 生き残るための覚悟を固めること。
 そして、ヤツを――

56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:11:55.48 ID:gaKo5VtJ0
2のアパートでコイン集まらなくてやめた俺が支援

57 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:13:06.42 ID:/2wGyfYR0
全部読むの面倒だから性的描写の箇所安価だしてくれ

58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:13:18.45 ID:cTmOhn7h0
( ・∀・)「病院を目指してってことは、転勤か?」

 のんびりとした言葉で、思考が中断される。

ξメ゚听)ξ「え? ええ。そうね。そんなとこよ」

( ・∀・)「まあ、こんな町じゃ看護婦は引く手あまただろうな」

 ぼんやりと受け答えするわたし達。

( ・∀・)「野暮用って言ったけど、俺は呼ばれて来たんだよ」

ξメ゚听)ξ「そうなの」

( ・∀・)「息子から手紙が届いたんだよな。マタンキって名だ」

ξメ゚听)ξ「……離れて住んでたのね?」

( ・∀・)「離れて、か。はは、おかしいよな。息子は」

――2年前に死んでるんだぜ。

59 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:13:41.33 ID:AFinROnx0
しえしえ

60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:15:15.65 ID:cTmOhn7h0
 心臓が嫌な拍動をする。
 壁にもたれかかったモララーは天井を仰いでいる。
 暗いために表情が分からない。

( ・∀・)「9歳の時に心臓患ってよ。ちょうど、あんたの目指してた病院に入院してた」

 目指していた病院に。
 わたしの、勤めていた病院に。

( ・∀・)「手術もしたんだ。回復するって言われてた」

 記憶を辿る。
 マタンキ?

ξメ )ξ「それで、どうして亡くなったの?」

( ・∀・)「……術後、急にな。詳しくは分からない」

ξメ )ξ「そ、そう」

( ・∀・)「懐かしいな。小生意気だけど、自慢のクソガキだった」

61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:16:28.18 ID:cTmOhn7h0
 モララーの手にしたタバコがフィルターぎりぎりまで燃え尽きていた。
 彼はそれを靴の裏でにじり消す。

( ・∀・)「なあ、良かったら病院までついて行っていいか」

ξメ゚听)ξ「逃げようとしてたんじゃないの?」

( ・∀・)「……実は最初っからそんな気はないんだ。公園から辿ったのはどこも思い出の場所だったんだよ。
      マタンキが元気だった頃にこの辺をよく散歩しててな」

 モララーの顔が外に向く。
 窓からの控えめな光に照らされた表情は寂しげだった。

( ・∀・)「アタリを付けていたところを調べていたら時間が随分かかっちまった。
      こんな状況だが、もし、あいつがどこかで俺を待ってるんじゃないかと……いや、馬鹿げてるかな」

 吸殻を灰皿に放ると、それきり彼は沈黙する。
 地図に書き込まれた「○」はそういうことか。
 息子がいるかもしれない、という場所の目星。

62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:17:40.76 ID:cTmOhn7h0
 霧による湿度の高さが突然感じられる。
 室温は低く、手足が冷え始めていた。
 わたしは口を開いた。

ξメ゚听)ξ「……良いわよ。怪物から守ってくれるなら、むしろ歓迎するわ」

( ・∀・)「そうか。それならもう少し休憩しよう。見たとこ、あんた怪我してるみたいだしな」

 指を向けられて、顔に手をやる。
 頬が切れていた。
 浅くて気付かなかったようだ。

ξメ゚听)ξ「あなたも血が出てるわ」

( ・∀・)「おっと、本当だ。ナースコール、看護婦さんこっち来てくれよ」

 軽口を叩くモララーに若干の生気が戻っていた。
 興奮は収まってきたらしい。
 わたしも一人でいたらこんなに冷静ではいられなかっただろう。

 こんな町では何をおいても当面の安全を優先すべきだ。
 そう思って、わたしは応急キットを取り出す。
 横にあった「それ」を確認するのは、忘れなかった。

63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:19:01.31 ID:cTmOhn7h0
 もし、彼が真実を知ってしまったら、二度引き金を引くことになる。


 一度はわたしの復讐のため。


 もう一度は彼、モララーの復讐から逃れるため。


【Save】

64 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:20:23.65 ID:cTmOhn7h0


 拾得、あるいは目に付いたメモ群。



65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:21:31.60 ID:MYetoyBRO
支援!

66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:23:53.87 ID:cTmOhn7h0
【警察署に置かれたローカル新聞の切り抜き】

〜連続殺人事件容疑者 自殺か〜

 サイレントヒル各地の連続殺人事件の容疑者として逮捕されていた##が、
昨晩未明、収容されていた拘置所内で死体となって発見された。

 首に刃物様の金属が刺さっており、自殺を図ったものとして警察は捜査している。
動機は裁判を目前にしてのノイローゼなどが考えられている。

 看守が発見した時、既に##は失血により死亡していた。
使用されたのは金属製スプーンで、留置場では通常の食事に用いられるものだった。
取り出されたスプーンは先が潰れて尖っており、##自身が加工したのではないかとみられている。

 本紙では##の幼少時代を――

(犯人の名前は塗りつぶされている)

67 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:24:35.70 ID:MYetoyBRO
支援するぞ!

68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:25:06.05 ID:cTmOhn7h0
【婦警の私物のローカル誌より】

〜今週の運勢〜

 ――は、今週の運勢が最悪!
 何かを決断するにも慎重にならないと危ないかも!
 特に恋愛に関しては気をつけないと意中の人と離れちゃう。
 友達と遊んで元気を分けてもらおう!
 幸運を呼ぶ色は黄色。ラッキーアイテムはマグカップ。

 蠍座は、ちょっと運が下降線?
 体調が優れなかったり、お肌が荒れやすい時期。
 健康に気遣って、早朝の散歩をすればリフレッシュ!
 人とは会わずにゆっくり休むのも吉。
 幸運を呼ぶ色はピンク。ラッキーアイテムは動物のシール。

(書き込み)「↑イザベラにロビーちゃんのシールをあげよう」

 射手座は――

69 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:26:33.23 ID:cTmOhn7h0
【署内掲示板のメモ 1】

〜車上荒らし多発〜

 最近車上荒らしが多発している。
 署員の通勤途中にもだ。
 みんな気を付けてくれ。
 オレみたいに家の鍵取られると本当に危ないぞ。

  ジョナサン


【署内掲示板のメモ 2】

〜銃の点検呼びかけ〜

 義務として週一回は点検を呼びかけてきたが、
 その頻度を最低、週三回に増やそうと思う。
 備えあれば憂い無し、各自ロッカー内の銃も手入れすること。
 パトカー内に常備しているショットガンも同様。

  ジム

70 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:27:58.02 ID:cTmOhn7h0
【捜査メモ】

〜「教団」と呼ばれている組織について〜

 教団の信者は人数が把握しきれない。
 土着の思想をミックスして転生、聖母の存在、女神の再来、なんかを謳っている。
 サイレントヒルでは死後の再生が広く浸透しているらしい。
 終末思想もある。

 人身御供、つまり生贄を用いるミサも行っているとの情報を入手した。
 孤児院の経営者が教団関係者というのは?
 要、調査。

 権力者の一部も関係か?→資金源を突き止める。
 地主、資産家、病院長。
 特に病院の院長はこの土地にいた明主の子孫だ。
 現院長の人柄はあまりよくないらしいが。

 こちらも平行して調査する。

71 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:30:14.51 ID:cTmOhn7h0
【Load】


 女は怒りと悲しみを胸に霧の中へ。


 男は何を抱いて霧の中へ?

72 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:31:39.47 ID:cTmOhn7h0
 警察署のテーブルに広げられている、モララーが集めた物資の数々。
 人のいない住宅から拝借した工具数点。
 小さめの救急箱、携帯保存食、飲料水。

 武器になりそうなナイフなんかもあったが、彼は主に銃を頼っているようだ。
 わたしは丸腰を装い、余った中から扱いやすそうな鈍器を受け取った。

( ・∀・)「これくらいの鉄パイプなら持ち歩いても邪魔にならないだろ」

ξ゚听)ξ「できたら使いたくはないけどね……」

( ・∀・)「分かってると思うが、正面切ってやりあうなよ。手を出さないに越したことは無い。
      で、やらなきゃならないときは」

ξ゚听)ξ「徹底的にやれ、でしょ。これで三度目よ」

( ・∀・)「あんたは肝が据わってるみたいだけど、念のためさ。襲われたらとにかく距離をとれ。
      今まで俺が出くわした怪物は大体鈍足だったからな」

 頷きながらパイプを握る。
 ひんやりとしたそれの表面には、赤い錆びが点在している。
 長さは70cmほどで、手の小さいわたしにとっては径が少し太めだ。

 あまり怪物に近づきたくない気持ちから、リーチのあるこれを選んだ。

73 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:32:31.67 ID:ZP6783ibO
3しかやったことないけど支援

74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:32:59.84 ID:cqYcSwDz0
おもしろいな支援

75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:33:05.14 ID:cTmOhn7h0
 モララーはナップサックにペンチ、ドライバー、スパナなどを詰める。
 その傍らには弾丸の入った箱がふたつ。
 もっと持っていかないのか、と尋ねると、指が二本立てられた。

( ・∀・)「ひとつ、重くて音が出るし、走りづらくなる。
      もうひとつが、これ以上は型の違う弾薬しか見付からなかった」

ξ゚听)ξ「警察署なのにおかしいじゃない」

( ・∀・)「誰かが持ち出したみたいだ。拳銃もこれだけ。
      ライフルかショットガンなんかがあればよかったんだが」

ξ゚听)ξ「残ってるのは弾だけ、なのね」

 言いつつ、わたしはじっと彼の手元を見詰めていた。
 妙に手馴れているように感じる。
 予備の弾倉に弾を込め、両ポケットにそれらを一本ずつ、するりと入れるモララー。

 そして、銃の中の弾数を確認すると、目線を他に向けながら安全装置を入れた。
 彼は空いた手でビーフジャーキーを口に運ぶ。
 咀嚼しながら、その袋をわたしに差し出した。

76 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:34:17.43 ID:cTmOhn7h0
( ・∀・)「塩分と水分は重要だぞ」

ξ゚听)ξ「釈迦に説法。看護婦は看護栄養学を学ぶの。でも、ありがとう。いただくわ」

( ・∀・)「シャカにセッポー? 仏教徒かい?」

ξ゚听)ξ「夫が日本人だったの。こっちの永住権を取得してるけどね。
       ファミリーネームはナイトウっていうのよ」

 漢字を空にさらさらと書く。

( ・∀・)「ジャパニーズか。子供は? アジアの女の子は可愛いって聞くな」

 言葉に一瞬詰まる。

ξ゚听)ξ「子供は、いないわ」

 モララーはそれ以上突っ込んでこなかった。
 わたしはペットボトルから水をひとくち、自分の気持ちを誤魔化すように飲んだ。

 やがてモララーが立ち上がる。
 ナップサックを背負うと、先ほど広げていた地図を取り出した。

77 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:35:13.80 ID:qM1CPeZk0
ビーフジャーキーはクソアイテムだったな

78 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:35:38.50 ID:cTmOhn7h0
( ・∀・)「まずは直線的に目指してみよう。迂回路が必要かもしれないが、
      とにかく焦らず歩く。見付かるよりかはマシだ」

 目的地は南西に位置する、ブルックヘイブン病院。
 そして、そこへの道で、地図上の「×」が入ってない通りは四つ。
 全てが警察署から少し西に行くとぶつかる、大通りと繋がっている。

 単純に大通りを南下するルートが一番近い。
 また、そこからさらに西側へと入れるわき道が次に早く到着できそうだ。
 他の二本の道へは、一旦北上する必要がある。

ξ゚听)ξ「これは何の印?」

 住宅や店舗の上を矢印が走っていた。

( ・∀・)「色々『拝借』した建物は通り抜けられたものがあったんだ。実質、いくつかルートはある」

ξ゚听)ξ「でもそれが明らかなのは東側だけ、か」

( ・∀・)「見るからに崖をまたいだ向こう側へ、室内から繋がってることもある」

ξ゚听)ξ「……異常ね」

( ・∀・)「好都合さ」

79 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:35:43.37 ID:/R6c6F4b0
ふおおおおおおおおおおおお
テンション上がってきたああああああああ

80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:36:22.35 ID:ZP6783ibO
>>77
あれって犬にしか効果無いの?

81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:37:21.32 ID:NAFJIF1p0
面白いな
支援

82 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:37:29.29 ID:cTmOhn7h0
 モララーは事も無げに怪奇を語った。
 彼の口調が重々しく深刻でなくて良かった。
 内容はかなり気が滅入るものだったからだ。

 階段の途中に、「屋上から」張られたフェンス。
 空いたマンホールの口から数センチ下に水面、そして突き出た人の腕。
 冷蔵庫に押し込められていた死体。

 中に入ると電気がついているのに、外からは明かりが見えない家。
 街路樹からすすり泣く声。
 前を通るたびに悲鳴が聞こえるドア。

ξ;゚听)ξ「気分が悪くなってきたわ……」

( ・∀・)「安心しろよ、慣れたら『またか』くらいにしか思わないんだから」

 車の下から這い出る怪物の存在も注意された。
 彼がズボンをめくると、包帯の巻かれたスネが見えた。
 血は止まっているらしい。

( ・∀・)「ライトはひとつでいこう。存在をアピールすることはない」

ξ゚听)ξ「いいわ」

83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:39:06.17 ID:cTmOhn7h0
 モララーはゆっくりと地図を確認しながら暗い中を歩いていく。
 その背に揺れるナップサックを見失わないように、わたしはついていく。
 手にした鉄パイプを無意識に強く握り締めていた。

 時々モララーが立ち止まり、ライトを消した。
 そして、そのたびに服を掴むよう指示される。
 ある程度歩くと、彼は明かりをつけた。

( ・∀・)「徘徊してる群れは拠点を作ってるんだ。その近くではさっきみたいに少しライトを消すぞ」

ξ゚听)ξ「崖があるなら足元が危ないと思うんだけど」

( ・∀・)「俺が落ちそうになったら服、離して良いぜ」

 嫌な感じにどきっとしたのは、その言い方が冗談めいていなかったためだ。
 なんだか。
 なんだか本当に、死んでも構わない、と思っているような。

ξ゚听)ξ「今度は腕を掴んでおくわ」

 そんな言葉が出た。
 おかしな話だ。
 もしかしたらわたしはこの男に#されるかもしれないのに。

84 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:40:01.27 ID:MYetoyBRO
気付くのが遅くてごめんね
支援

85 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:40:18.76 ID:cTmOhn7h0
 しばらく道を行くと、モララーの足が止まった。
 そして、ため息。

( ・∀・)「最短の道は塞がってる。いや、空いてるというべきかな」

 彼の背後から先を覗き込む。

ξ;゚听)ξ「……ひっ」

 期せずしてわたしの靴が小石を蹴飛ばす。

 こつっ。一度跳ね。

 こつっ。二度跳ね。

 ―――。ふ、と消えた。

 照らされたアスファルトは、忽然と途切れていた。
 道路に突然現れた、底なしの暗闇。
 わたしは思わず、そこから遠ざかっていた。

( ・∀・)「戻って西側の通りに出る道を探そう」

 そう言って、モララーが振り向いた時、何かの気配を感じる。

86 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:41:47.22 ID:cTmOhn7h0
 地の底から? 急速に近付いてくる羽ばたき。
 さらに、甲高いキィキィという鳴き声。

 問題はその数だった。
 もはや騒音。
 耳を塞がないと鼓膜がどうにかなりそうなほどの音量。

ξ;゚听)ξ「!」

 モララーの胸についたライトを、いくつもの小さな影が遮った。
 それが飛来し――

ξ; )ξ「いっ!」

 肩口に鋭い痛み。
 切られた!?
 いや、食いちぎられたような……。

(;・∀・)「なっ!? なんだこいつらは!?」

 とっさにわたしも懐中電灯をつける。

 照らされたのは、崖から湧き出る、黒い雲の蠢き。
 否、小型の怪物の群れ。

87 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:42:29.65 ID:V04Yj5+e0
支援

88 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:42:32.13 ID:3fwzp7F4O
wktk

89 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:42:50.62 ID:ZP6783ibO
いやぁあぁあ

90 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:43:26.15 ID:cTmOhn7h0
――キィキィキィキィキィ!!

 まとまった蠢きが一際大きくさえずった。
 そして、一挙にこちらへと滑空してくる。
 第二波がくる!

(;・∀・)「走るぞ! 数が多すぎる!」

 モララーがわたしの腕をとり、走る。
 引っ張られるようにしてわたしも駆けた。

 黒い雲が霧を裂く。
 耳元を不快な羽音が通り過ぎた。
 頭や肩を骨ばった翼が打つ。

ξ;゚听)ξ「どっちに!?」

(;・∀・)「西、左だ!」

 十字路を左折。
 斜向かいに太い腕の怪物がちらりと見えたような気がする。
 鳥達の一部がそちらに向かう。

――あああああああ!! あああああ!! うああああ!!

91 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:45:38.38 ID:cTmOhn7h0
 背で、「立ち止まったらどうなるか」を聞く。
 板張りの壁やレンガの塀に挟まれた道に、絶叫が届いた。
 靴が湿った地面を叩く。

 鞄が揺れるのがうっとおしい。
 早速息が苦しくなってきた。
 進行方向を照らしながら、なおも駆ける。

 そして、見つけた。

ξ;゚听)ξ「見て! ドアが開いてる!」

 二階建ての住宅。
 そのレンガの壁に半開きの木戸がある。
 裏口のようだ。

(;・∀・)「しめた、飛び込むぞ!」

 鳥の群れが一瞬引いた。
 はっ、と見上げて、下降してくる影を認める。

(#・∀・)「おおおおお!!」

92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:46:34.04 ID:V04Yj5+e0
私怨

93 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:47:03.43 ID:cTmOhn7h0
 それは雨か

 まるで矢か

 あるいは槍

 垂直に地面へと

 突き刺すように急降下する小さな怪物

 腕を掠める鋭利な爪

 衣服を裂く鋭敏な嘴


 モララーの手がドアノブにかかった。

94 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:47:16.73 ID:wo/GzoElO
良いよ良いよ

95 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:48:10.52 ID:BwWL1z5E0
つまんね

96 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:48:16.57 ID:cTmOhn7h0
 わずかにあけられた隙間に身体をねじ込む。

ξ;゚听)ξ「閉めて!」

 ドアを閉めた途端に、外から連続した鈍い音。
 地面に突き刺さったのだろうか。
 それとも、激突して死んだのか。

 ぐちゃ、とも聞こえてくる気がした。
 あの速度だ。
 コンクリートにぶつかればタダでは済まないだろう。

 ぐちゃ、くちゃくちゅ。

 ぶちゅ。

 感覚が鋭敏になっているのだろう。
 一枚の壁を隔てた音がこんなにも近くに聞こえる。

 あれ……?
 それにしても何故、こんなにも近くで音が――。

97 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:49:29.27 ID:cTmOhn7h0
ξ゚听)ξ「えっ」

 懐中電灯を向ける。

 モララー。

 太い腕に抱かれた、揺れる死体。

 木製テーブルと工具。

 二台の乗用車――ああ、ここはガレージだったんだ。

 ぬちっ。

 床の赤いシミ。

 モララー。

 揺れる死体?

 ぐちゃ。

 笑う怪物に、犯されている、女性の死体。

「うー……? ああああー……うへへへへへ」

98 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:49:30.96 ID:ZP6783ibO
面白くなってきた

支援

99 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:49:55.25 ID:qM1CPeZk0
>>80
ないよ

100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/04/25(土) 20:50:30.61 ID:V04Yj5+e0
うわあああああ

70 KB
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

★スマホ版★ 掲示板に戻る 全部 前100 次100 最新50

read.cgi ver 05.02.02 2014/06/23 Mango Mangüé ★
FOX ★ DSO(Dynamic Shared Object)